Dürer’s solid

アルブレヒト・デューラーとLucas Cranach der Ältere

Dürer’s solid 未分類

国立国際美術館で開かれている クラーナハの絵画展に行ってきました。


クラーナハ ( Lucas Cranach der Ältere 1472-1553 ) は
ドイツ・ルネッサンスを代表する芸術家で
後世の絵画作品にも大きな影響を与えているとのことです。

絵画にはあまり興味がない私ですが あの有名な宗教改革を興した
マルティン・ルター(Martin Luther 1483- 1546 )の肖像画作者だと知ったことと
妻が 強く誘うもので 重い腰をあげて 大阪まで行ってきました。

人物の特徴的な表現に魅かれたり
当時のドイツの雰囲気が感じられるような気分になったりで
いつになく感銘を受けていました。

それと 彼に影響を及ぼしたと思われる同時代のドイツの画家
アルブレヒト・デューラー ( Albrecht Dürer 1471-1528 ) の
作品も数点あり 既にお伝えしたことのある メランコリア もあったのです。
以前 メランコリア を見たときは 思った以上に小さく(238mm×186mm)
印象として感動に乏しかったのですが
今回は 小さいと感じてしまったことが不思議で
思いがけず鑑賞することができたことに 大変感動しました。

デューラーの多面体 4 Dürer’s solid Truncated triangular trapezohedron

Dürer’s solid 多面体

下の立体は 私がデューラーの多面体の形状を理解し納得するために作りました。

これらの三つの立体に共通した要素は。

菱形を 短い対角線に沿って二分してできた形状の稜部品 unit が
三つ連なって輪になっているものです。

反角柱 antiprism  の一種であり 全ての頂が 球に接しています。

この条件をもとに 諸量の計算をしています。

sakai-s004

上左は 正六面体で 稜の開き角度は 90度  右上は 正八面体で 60度の開き角です。
つまり デューラーの多面体の鋭角は 60度から 90度までの間だということです。

上中が 鋭角 360/5 の 72度で 鈍角が 正五角形の内角と同じ 108度の
デューラー多面体と 形状がよく似ていると思われる立体です。

三角形にカットした面の稜寸が 他の短い二本の稜寸より少し長いのが特徴です。

デューラーの多面体 3 Dürer’s solid Truncated triangular trapezohedron

Dürer’s solid 多面体

下の画像の上中ほどの立体が平行六面体です。

この多面体は 球に全ての頂が接するほどの symmetricさ がないので
接合部分に 乱れが生じています。

同様に デューラーの多面体もこの平行六面体の特徴をもつため
角棒を稜として作る sashimono には 製作の対象としづらいものがあります。

画像下 四つの立体は 全ての頂が球に接するように
平行六面体の長方向の両端をカットした形状です。

四つのうちの左右の立体が その極端な場合で
左は カットのした面積が 0 右は 菱形の半分の面の部分までカットです。

sakai-s003

ここでは デューラーの多面体は 全ての頂が球に接すると前提していますが
その条件をはずせば 形状の可能性は 大きく広がります。

日本語の “外接” とか “内接” とかの用語は あまりいい訳語とは思えませし
用語としても 私は使用に混乱しそうです。これからは 使わないようにしています。

下の左から二つ目の立体の 鋭角は 77.142857142857142857 です。
360/(3+5/3) とか 540/7 の値と同値です。
カットされたほうの三つの稜の寸法が等しい値になっています。

デューラーの多面体 2 Dürer’s solid Truncated triangular trapezohedron

Dürer’s solid 多面体

デューラーの多面体の 作品1 (左) と 作品2 (右) です。
sakai-s001

計算した諸量が正しい値なのかどうか 不安な気持ちで作品1 を作りました。
加工し易いようにバルサ材を使用しています。

作品2 は製作に必要な諸量に問題はなさそうなので ラミン材で作ってみました。
高さは約 90mm で 球に外接する形状になっています。

デューラーが活躍していた当時はもう 天体観測などの測量では
かなり精度の高い三角関数の数値が用いられていたようですが
構造物などのの計算には
どれほど三角関数が寄与していたのか 知りたいところです。

ラミン材は 絶滅危惧種としてワシントン条約にも登録されています。
20年ほど前にストックしていた材を使っています。

デューラーの多面体 Dürer’s solid Truncated triangular trapezohedron

BASIC Dürer’s solid ポーカーの確率 多面体

レオナルド・ダ・ヴィンチ Leonardo da Vinci (1452-1519) と
同時代に ドイツで活躍した
アルブレヒト・デューラー Albrecht Dürer (1471-1528)
の銅版画 メランコリア I (Melencolia I) の中にある
特殊な八面体の製作をしようと思っています。
http://de.wikipedia.org/wiki/Albrecht_D%C3%BCrer 参照
本来なら 作品を完成してから 製作方法を伝えるべきですが
やっと 諸量の計算ができたところです。
早く お伝えしようと思い 作ったばかりの BASIC のプログラムを
載せておきます。計算方法の思い違いがあるかもしれませんが
実際に作品を作ってゆけば 発見できるでしょう。
この多面体の諸量については諸説あるようですが
石津秀子さんの 論文を参考にさせていただきました。
http://www.seijo.ac.jp/pdf/falit/188/188-4.pdf

!! コピー開始 
! メランコリア I (Melencolia I) の八面体の製作に
! 必要な諸量の計算 <試案>

! 菱形の鋭角を 72度とする
! 菱形の短いほうの対角線を 1とする
! 短いほうの対角線を底とする二等辺三角形を考える
! この二等辺三角形で
! 底を周方向とする二つの三角錐と一つの反角柱を作る
! 二つの三角錐に反角柱を挟んで 平行六面体を作り 
! 長方向の両端をカットした形状を作る
! 八面体は球に外接するとして計算

OPTION ANGLE DEGREES
LET m001=sqr(3)/6
LET m002=sqr(3)/3
LET m003=72                     ! 72        菱形鋭角
LET m004=0.5/tan(m003/2)        ! .688190960235587  対角線長寸/2 
LET m005=sqr(m004^2-m001^2)     ! .62471870823327   三角錐の高さ 反角柱の高さ
LET m006=sqr((m002)^2+m005^2)   ! .85065080835204   稜寸
LET m007=acos((m002)/m006)      ! 47.2566160617882  三角錐の稜の仰角
LET m008=sqr(m002^2+(m005/2)^2) ! .656431031744764  反角柱の外接球半径
LET m009=atn((m005/2)/m002)     ! 28.4143751956601  反角柱の高さ巾角/2
LET m010=m007+m009              ! 75.6709912574483  稜の球内侵入角度
LET m011=m008*sin(90-m010)*2    ! .324919696232906  三角錐のカット残の稜寸
LET m012=m006-m011              ! .525731112119134  切り離しする三角錐の稜寸  
LET m013=m012/m011              ! 1.6180339887499   切り分け稜寸比 (黄金比)
LET m014=m012*sin(m003/2)*2     ! .618033988749895  カット面三角の辺寸
LET m015=asin((m006/2)/m008)    ! 40.3861775591967  長稜巾角/2
LET m016=asin((m011/2)/m008)    ! 14.3290087425517  短稜巾角/2
LET m017=asin((m014/2)/m008)    ! 28.0831980645294  底稜巾角/2
LET m018=90-m015                ! 49.6138224408033  長稜端角
LET m019=90-m016                ! 75.6709912574483  短稜端角
LET m020=90-m017                ! 61.9168019354706  底稜端角
LET m021=90+m003/2              ! 126               五角底角
LET m022=(90-m003/2)*2          ! 108               菱形鈍角
LET m023=90-m018                ! 40.3861775591967  長稜仰角
LET m024=m006*cos(m023)         ! .647936163294299  長稜投影寸
LET m025=asin(0.5/m024)*2       ! 101.010156834313  長・長稜開き角
LET m026=(360-m025)/2           ! 129.494921582844  長・短稜開き角
LET m027=90-m019                ! 14.3290087425517  短稜仰角
LET m028=90-m020                ! 28.0831980645294  底稜仰角
LET m029=cos(m028)              ! .882264951894171  底稜投影縮小比
LET m030=asin(0.5/m029)*2       ! 69.0440756710915  底・底稜開き角
LET m031=(360-m030)/2           ! 145.477962164454  底・短稜開き角
LET m032=m005+m011*cos(m003/2)*2! 1.1504498203524   八面体長寸
LET m033=(1+sqr(5))/2           ! 1.61803398874989  黄金比
LET m034=atn(1/m033)*2          ! 63.4349488229222  黄金比の鋭角
LET m035=sqr(2)                 ! 1.4142135623731   白銀比
LET m036=atn(1/m035)*2          ! 70.5287793655091  白銀比の鋭角

PRINT "《メランコリア》の八面体"
PRINT "菱形対角線短寸",1        ! 1            
PRINT "菱形対角線長寸",m004*2   ! 1.37638192047117
PRINT "菱形鋭角"      ,m003     ! 72
PRINT "長稜寸"        ,m006     ! .85065080835204  
PRINT "短稜寸"        ,m011     ! .324919696232906
PRINT "底稜寸"        ,m014     ! .618033988749895
PRINT "長稜仰角"      ,m023     ! 40.3861775591967
PRINT "短稜仰角"      ,m027     ! 14.3290087425517
PRINT "底稜仰角"      ,m028     ! 28.0831980645294
PRINT "長・長稜開き角/2",m025/2 ! 50.5050784171565 
PRINT "長・短稜開き角/2",m026/2 ! 64.747460791422
PRINT "底・底稜開き角/2",m030/2 ! 34.5220378355458 
PRINT "底・短稜開き角/2",m031/2 ! 72.738981082227 
PRINT "八面体長寸"    ,m032     ! 1.1504498203524
PRINT "外接球直径",m008*2       ! 1.31286206348953
PRINT
PRINT "参考数値"
PRINT "黄金比" , "1 :" ;m033    ! 1 : 1.61803398874989 
PRINT "黄金比菱形の鋭角" ,m034  ! 63.4349488229222
PRINT "白銀比" , "1 :" ;m035    ! 1 : 1.4142135623731
PRINT "白銀比菱形の鋭角" ,m036  ! 70.5287793655091

END ! コピー終わり

以下は 整数比に変換した値です

 .85065080835204  131 / 154 
 .324919696232906  77 / 237 
 .618033988749895 144 / 233 
 40.3861775591967 131 / 154
 14.3290087425517  47 / 184
 28.0831980645294 127 / 238 
 50.5050784171565 182 / 150
 64.747460791422  212 / 100
 34.5220378355458 119 / 173
 72.738981082227  177 /  55
追伸
新しいパソコンに買い替えてこのブログを作っています。
以前お伝えした ポーカーの確率計算のプログラムを
このパソコンで run してみました。すると 32秒で output です。
以前は 半日もかかったのに
隔世の感を 新たにしているところです。